【開催レポート】熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』の様子

【開催レポート】熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』の様子


ソラリスでは、4月・5月の2日間にわたり、写真家・熊谷聖司さんを講師に迎え、写真のワークショップを開催いたしました。

その後、5月に開催されたブックフェア「写真集飲み会in大阪」のソラリスブースにて自分たちの手で販売することを目標に、受講生たちはそれぞれの作品を写真集の形に完成させました。そして本日からソラリスにて、熊谷聖司ワークショップ修了展「10の扉」を開催いたします。

熊谷聖司

熊谷聖司の作品制作に対する考えや思いを直に感じながら、自分の作ったものを外に向けて発表することを目的にした今回のワークショップ。2日間という限られた時間のなかで、自分の作品を「本」という形にした、その様子をちょっとだけご紹介します!

・第1日目(2016/4/30)

参加者が、女性7名+男性2名となったこのワークショップ。まずは、写真集飲み会〜展示の説明をしつつ、熊谷さんから挨拶が。

「本のカタチそのままを展示してもいいし。俺も今回作るんですけど、印画紙そのまま綴じてるのね。俺はこのまま展示しようと思っていて。」

そういって熊谷さんが取り出したのは、印画紙を真ん中で折って10枚綴ったサンプル本。それは後に「扉」と名付けられた17部限定の写真集の束見本でした。

熊谷聖司

「この写真自体はこういう形でしか発表しない。本が作品だし、展示するときは工夫しないといけないこともあるとは思うんだけど。」

「本の形と、展示のことを考える。その2つを考えていく。いまはまだなんにもできていない状態なんで、どんどん変わっていてもいいし、なんとなくイメージとして自分の中に持っておく。で、検討していく感じだね。」

そんな話から始まった、このワークショップ。そのなかで挙がった話題、気になった言葉を抜粋して掲載させていただきます。

「」内は熊谷さんの発言です。ところどころ会話の流れであったり、特定の写真を前にされてお話頂いた内容ですので、わかりにくいところもあるかもしれませんがご容赦ください。少しでも写真のヒントになれば嬉しく思います。

熊谷聖司
熊谷聖司

「どういうカタチの本にしたい?自分がこの写真を使って、本をつくるにあたって、どういうカタチの本にしたいかのイメージ。本の大きさとか。本作りは物理的に考えて行かないと。」

「本て手にとるものだから、手触りとかタッチだよね、そのへんが大事になってくるから。手触りっていうのはこういうことで、トレペを使いたいとかさ、ツルッとした紙でやりたいとか、ザラッとした紙を使いたいとか、それぞれみんな、自分が作った世界観を表現するにあたってひとつひとつ具体的にしていくってことかな。

紙を選ぶ、製本方法を選ぶ、サイズももちろんそうだし、そこに編集ってことがはいってくるから、この写真が来てこの写真が来て、次のページはどうで、枚数とかね。手に持った時の感じと、見た時の感じ。それを自分のなかでイメージする。」

「なんとなく並べるってことはまったくなくて、ぜったい確信的に並べる。自分自身が確信的に思っていること。そのことが伝わっていくわけだから。なんとなく並べるってことは、なんとなくにしか見てくれないんだよね。」

そんな話の流れから写真集「MY HOUSE」を実例に、編集についての話や、写真同士の関係性の話が語られます。

熊谷聖司

ひとりひとりの作品を見ながら、じっくり時間を掛け「自分がなにを作りたいのか、どんな形にしたいのか」を聞き、参加者自身に意識をさせていく様子は、まるで石の塊のなかからまだ見ぬ姿が削り出されていくよう。

第1日目が終わる頃には、参加者それぞれ、自分はどんな本を作るのかイメージが見えているようでした。あとはそれを形にしていく作業です!

「失敗してもいいから。とことんまっすぐ行って、形にしないとフィニッシュできないから。それは意思表示でもあるから」

写真集を沢山作ってきた熊谷さんらしい言葉で、第1日目は締めくくられました。

・第2日目(2016/5/7)

それから一週間後の2日目。それぞれ前回のワークショップでイメージしたものを仮で形に起こし、持ち寄りました。まずは熊谷さんが、大阪で撮影した写真をテーブルに広げ、ワークショップはスタート!

熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』
熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』

「この写真ってセンターで折れるじゃん。それってどうなんだろうって考えて。だからまぁここから離れていったんだよね。それって要するに写真を撮ってこれを入れたいっていう欲望のことなんだよね。いいとか悪いとか別にして、これは絶対入れなきゃいけないって決めてしまったらさ、そこでひとつ『創る』という点において汚点が残るんだよね。写真がどうっていうのとはまた別でさ。」

「プリントしたらいいんじゃないかってやつをネガでチェックするよね。それをどんどんプリントしていって、ある程度溜まったらそのなかで組んでいく。この写真は今回は合わないなってなったら省いてをどんどん繰り返していく。作業だけでみるとそういう感じ。」

「同じようなイメージばかりになってしまうのも嫌だなと思ってさ。全体のバランスで考えてるから。だから本作りていうのは、具体的に。本の形が決まって、どう写真を入れるかっていう。」

熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』
熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』
熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』
熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』

「全員のワークショップ参加者が何らかの形で本を作って、社会に投げるっていうことね。投げるっていうことを自分で確認してもらうためのことだから。上手い下手の世界のことじゃないから。それは自分が感じること、投げた時に何が返ってくるのか。そのことを自分の作品を通して体感するっていうかな。」

「自分のやりたいことっていうのを提示して、リアクションが悪くてもさ、そんなこといいわけよ。自分がやりたかったことなんだから。それは自信を持って出すっていうこと。そっちのほうが俺は素晴らしいと思うし、でないと意味がないと思うしさ。今回は本や展示という形を通して、自分が何をほんとにやりたいのかってことを見ること。それは技術の問題じゃなく、心の問題だから。心だから丁寧にいかなきゃいけないから、丁寧に作ることになるんだよ、それ伝えるんだから。」

熊谷聖司
熊谷聖司

ワークショップでは、熊谷さんの経験から話される作品作りのアドバイスだけでなく、よりこの作品をよくするためのアイデアがなにかないか、「なんかあるかな?」とほかの参加者に意見を話させる姿が印象的でした。それは作品にとって、いろんな目線から作品を検証する作業でもあり、ほかのワークショップ参加者にとっては作品を俯瞰して編集を意識する作業ともいえます。

また、このワークショップでは「自分が決めることだからね」という言葉が繰り返し語られました。それは誰かに正解を教わったり、正解を知っている人がいるわけではなく、作品作りはあくまで自分が作りたいものを形にすること。それを自分で考えるきっかけであり、実際に実践するためのワークショップであることをその言葉を聞くたびに感じました。

ワークショップの途中には、綴じ方の見本として、いろんな本をサンプルに見たり、本に隠された意図を探ったり。

そうして参加者9名はそれぞれの作品の方向性を固め、ワークショップは終了!いよいよ5月に開催される「写真集飲み会in大阪」に向けて、各自動き出します。

熊谷聖司

・写真集飲み会in大阪(2016/5/14、5/15)

そして迎えた「写真集飲み会in大阪」。ソラリスのブースは3Fの入口入ってすぐのところ。キャリーバッグで作品を持ち込んだときには、もうみんなブース作りを始めていました。というわけで、まずはブース作り!

熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』
熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』

こんな感じで並べたら、、、と事前にイメージしていた感じで並べたところ、なんだか華がない。。。そこで、女性チームにお願いし華やかなブース作りをお願いしたところ

熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』
熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』

おかげで立派なブースになりました!ありがとう!

熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』
熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』

たくさんの写真集目当てにたくさんの人が来場した「写真集飲み会」。関西にこんなに写真集好きの人がいるんだな〜。おかげでソラリスブースにもたくさんのお客さんが足を運んでくださいました。

なかにはセールをされている出版社さんや、作家さん自身が店頭でお話をしてくださるブースなども。そして「写真集飲み会」という名の通り、お酒が美味しい!

熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』
熊谷聖司ワークショップ『本を作って、ブックフェア「写真集飲み会」で売ろう+ソラリスで展示しよう』

サインを求められる新保勇樹さん。そしておかげさまで完売となった、長谷川明生さんの写真集「ホースについて」。かわいらしい女の子が買われていきました!

たくさんの人の熱気とともに終了した写真集飲み会。2日間でしたが、まるで夏フェスが終わったかのような楽しさと少しの寂しさを感じながら幕を閉じたのでした。熊谷さんからは、「皆さんは初日の4月30日に居た自分とは違う所に立っていると思われます。これは全て皆さんが感じ考え至った場所です。その事は素晴らしい事だし、それを今日見に来た人達が受け入れてくれてもらえた事は更に素晴らしい事です。」というメッセージもいただきました。

こうしてワークショップは幕を閉じ、、、いえいえまだ終わりません!次は展覧会です。

今回、ワークショップを通し制作した、受講生たちそれぞれの作品を6/21(火)〜6/26(日)、ソラリスにて展示発表いたします。会場では制作した写真集の販売も行います。ワークショップに通うことで、それぞれが開く扉の前に立った彼らと、熊谷聖司による作品展「10の扉」。ぜひその成果をご覧ください。

熊谷聖司ワークショップ修了生 写真展「10の扉」

2016年6月21日(火)〜6月26日(日) 11:00〜19:00 入場無料

最終日・6月26日(日)17:00〜は、アーティストトークを開催いたします。お気軽にお立ち寄りください。

講師:熊谷 聖司

出展作家:Akko / 伊藤利恵 / 上村千恵子 / 小澤佳奈 / 佐藤柊 / 清水マリカ / 鷹巣由佳 / 長谷川明生 / 渡辺壮一

今回のワークショップの目的は、参加者9人がそれぞれの世界観で本を完成させ
6月にギャラリー空間での展示を行い、それぞれの想いを「形」にし、それを発表する。
その行為を通し自分自身や見る人に何らかの作用が表れ、より深く作品について感じ
考える事を習慣付ける為の濃密な時間でした。

9人が想いのままに制作した作品です。
作品から聴こえてくる声や音を感じてみて下さい。

─────熊谷聖司