03 5月 【開催レポート】写真研究者・小林美香氏 レクチャー「写真史と絵本のお話会」の様子
5月3日(日)、写真研究者・小林美香氏 レクチャー「写真史と絵本のお話会」を開催いたしました。その様子をちょっとだけご紹介します!
写真の楽しみは「撮る」だけではありません。知れば知るほど面白くなるのが、「写真史」です。写真史を知ると、「こんな作家がいるんだ!」「そんなことをしてもいいんだ!」と、どんどん写真の楽しみが開いていきます。
でも写真史てむずかしそう。。。そんな、写真史は何だか苦手だけど、写真の面白さをもっと知りたい方のためのレクチャーをしてくださるのが、国内外の各種学校/機関で写真に関するレクチャーや、展覧会の企画を行なってきた、写真研究者の小林美香さん。
もともと家に本がたくさんあるなかで育ったという小林さん。ご自身も一児の母となり育児をしながら、いろんな絵本に巡り会い、子どもに絵本を読み聞かせる中で、絵の描き方や絵本の構成の面白さに興味がわいてきたといいます。また、絵本を読むことは、写真を見ることにも繋がるような面白さがあるように感じたそうです。
そこで今回のレクチャーでは「木を見る」をテーマとして、木を描き出している絵本、そして、木の写っている写真を通して、「絵本と写真の見方、味わい方」についてご紹介頂きました。
まずは小林さんが今年に入ってから、時々スマートフォンで撮ってInstagramにアップしているという木の写真(#木を見る)をプロジェクターで見ました。
街路樹や公園の植え込みなど、身近なところにある木を写真に撮ると意外な発見があったり、また写真にとることでこれまでなんでもなかった木が記憶に残るようになったといいます。
そんな体験談から今度は木をモチーフにした絵本を手にとりながら、そこから本の特徴や構成、そして木を通して語られている物語を読み解いてゆきます。
本はただ物語が描かれているだけではありません。その造りもさまざまで、立体物としても絵本を楽しむことができます!写真集とも通じる話ですね。
ビヨーンと伸びるジャバラの絵本に、飛び出す絵本!飛び出す絵本は一方向からしか見れないものが多いですが、今日小林さんが紹介してくださったのは180度から俯瞰できる絵本。すごいな〜!
その後休憩をはさんで、後半は「木」の写った写真史上の名作や、現代の写真家たちの作品を通して、それぞれの作品の成り立ちや背景を探り、その見方についてご紹介頂きました。
黎明期の写真術であるカロタイプの発明者ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットの「冬のオークの木」(約170年前の写真)にはじまり、写真界のレジェンドたちによる有名な作品から、私も初めて名前を聞く写真家まで、小林さんの脳内画像検索の幅広さが結びつける作品の数々!
最後には参加者の方に撮ってきて頂いた、身の周りの木の写真をみんなで見せ合いワークショップは終了しました(話を聞くのに前のめりになり、後半の写真がありません。。。すみません!)。
お話を聞いたら、いつも見過ごしてるような家の前の木もまた違って見えてきそうです。ご参加くださった皆さま、まことにありがとうございました!また、今回のレクチャーを開催下さりました小林さん、まことにありがとうございました!
小林さんは、「ギャラリーときの忘れもの」のサイトにて、「母さん目線の写真史」という連載をされています。小林さんならではの切り口で面白くってためになるコラムです。ぜひこちらもご覧ください。
最終更新日:17年3月17日(金)
投稿者:solaris