ソラリス企画展 育緒 写真展「D960」

©︎ 育緒

ソラリス企画展 育緒 写真展「D960」

©︎ 育緒

ソラリス企画展

育緒 写真展

「D960」

2023年1212日(火)〜 1224日(日) 11:00〜19:00

※モーニング営業:12/16(土)、12/17(日)のみ、10:00オープン〜19:00

※12/18(月)休廊

ギャラリーより

ソラリスでは12月12日より12月24日まで、育緒 写真展「D960」を開催いたします。ソラリスで育緒氏の写真展は6度目の開催となります。

 

育緒氏は京都に生まれ、東京、メキシコシティ、ハリウッド、サンフランシスコなどに暮らし、現在は東京と京都を行き来しながら活動している写真家です。2003年から2年間にわたって滞在したハリウッドでの、自由や快楽におぼれていく人々、街の様子を捉えた作品「甘い地獄」では、2007年 土門拳文化賞を受賞し、「表現者としての鋭い視点や思想性が光る秀作」と評されました。

 

今年に入って身辺で、死について深く考えたくなる出来事が重なり、自分の〈人生〉とは何か、自分はどう〈死にたいか〉を考えてばかりいたという育緒氏。
今展覧会「D960」では、そういった経験を経て絞った、「セルフポートレート」と「花」という2つのモチーフをモノクロフィルム、カラーネガフィルムで撮影した作品を展示いたします。

 

どの作品も、意図的にピントを合わせず、輪郭線を持たぬまま捉えられていますが、そういった描写はこれまでの作品においても一貫して行われてきたもので、そこで育緒氏は、光の滲むさまを見つめているといいます。

 

自分自身を被写体とした「セルフポートレート」と、自分の分身としての「花」。どちらも淡く滲んだ輪郭線は、自分と外界の境界を溶かし、すべてを等しく交わらせていくように見えます。フィルムで撮影しながら、死という現実を凝視していく作業の、独特の息遣いを感じてください。

 

また会期中は作家によるギャラリートークのほか、「”育緒流”ポートレートの撮り方ワークショップ」「”育緒流”ポートレート撮影イベント」といったイベントも開催します。ぜひお気軽にご参加ください。

作家ステートメント

音楽家シューベルトは31歳でこの世を去りました。
梅毒と腸チフスの激痛に苦しみながらも
息絶える数日前まで作曲を続けたといいます。
その遺作がピアノソナタD960です。
絶望的な身体からこれほどの繊細なメロディーが生み出されたことに
私はとてつもない衝撃を受けました。
この1年、身の周りで人の死について深く考えさせられる出来事が重なり
私自身はどう人生を終わらせたいのかという問いが
常に頭の中を廻っていました。
その答えを写真に描き出そうとしたのがこの作品です。
D960を何度も繰り返し聴きながら、死に向かう自分を想像し
その分身として花を撮影しました。
枯れることの美しさを意識しながら歳を重ね
最後は光という 無 に溶け込むような死に方をしたいという願望なのかもしれません。

確かなものは何ひとつ求めず
フィルムの底知れぬ魅力に身をまかせるような制作過程でした。
大げさに言えば、フィルムが何を見せてくれるのか
人事を尽くして天命を待たせてもらうような作り方だったと思います。
この作品でフィルムが見せてくれた魔性の美は
すべて光が引き出してくれた一瞬の奇蹟に他なりません。
それは人の一生という、宇宙の中の一瞬の奇蹟にも似ていると私は思っています。

Dec.2023 育緒

Schubert passed away at the age of 31.
He worked till very end suffering from the fierce pain of syphilis and typhoid fever.
His last piece was the Piano Sonata D960.
I was tremendously shocked that he created such delicate melodies
from his despart body.
D960 inspired me to think about “my death” through my works.

ikuo

【関連イベント】

ただいまお申し込み受付中です

▶︎ 育緒ギャラリートーク 定員になりました

展覧会 作品についてのギャラリートークを行います。今回カラー作品のプリントを担当した橋本も一緒に話します。

日時:12/16(土)19:00〜20:30(90分)
定員:15名(マスク推奨)
料金:1,000円(税込)
※作品購入者は無料参加ご招待

▶︎ ”育緒流”ポートレートの撮り方ワークショップ 定員になりました

”育緒流”ポートレートの撮り方をレクチャーするとともに、今作ではどのように撮影していたのか、育緒が撮影を実践する様子をご覧いただけます。

日時:12/16(土)15:00〜16:00(60分)17:00〜18:00(60分)
※どちらも同内容です
定員:6名
料金:3,000円(税込)

▶︎ ”育緒流”ポートレート撮影イベント

”育緒流”ポートレートで、あなたを写します。大事なのは撮る人間と撮られる人間の距離感。それはセルフでも同じこと。
撮られ方を体験してもらうことで、ポートレートを学んでみませんか。

ポートレート撮影イベントは、下記日程の時間で1時間ごとに開催し、完全予約制・個別形式(時間指定)となります。
一人あたりの撮影時間は20分程度、ハッセル/プラナーにデジバックをつけて撮影しデータお渡しまで含めて約30分となります。

データの手渡しを希望する方はSDカードやUSBをご持参ください。ファイル送信での受け取りも可能です。

日時:
12/12(火)15:00〜19:00
12/13(水)15:00〜19:00
12/14(木)14:00〜19:00
12/16(土)13:00〜15:00
12/17(日)17:00〜19:00
12/20(水)14:00〜19:00
12/21(木)14:00〜18:00
12/22(金)14:00〜19:00
12/23(土)14:00〜16:00
12/24(日)14:00〜19:00
※1人につき、1時間枠
料金:3,000円(税込)

育緒 略歴

1968年 京都市生まれ
東京、メキシコシティ、ハリウッド、サンフランシスコなどに暮らし、現在は東京と京都をダブル拠点にして作家活動を展開。
2000年 機械式カメラの修理技術を学び、クラシックカメラの修理職人としても多くのワークショップを開催。
2007年に土門拳文化賞受賞。
2023年、京都・五条にgallery SUCCESSIONをオープン。

【個展】

2022「Träumerei」 ギャラリーソラリス(大阪)
2021「Lumen」 ギャラリーソラリス(大阪)
2020「Perfect gamble」 ギャラリーソラリス(大阪)
2020「Perfect gamble」 ナダール(東京)
2019「Side ABC」 ギャラリーソラリス(大阪)
2018「プラトンの洞窟」 gallery main(京都)
2018「プラトンの洞窟」 ピクトリコギャラリー表参道(東京)
2017「45min.」 gallery main(京都)
2016「Noble」 京都ホテルオークラ
2015「Whiskey Drinking Troubadour」 gallery main
2013「Whiskey Drinking Troubadour」 iTohen(大阪)
2012「Whiskey Drinking Troubadour」 In Style Photography Center(東京)
2008「甘い地獄」 新宿ニコンサロン(東京)
2007「甘い地獄」 土門拳記念館(山形)

【主な出版物】

写真集「3 straight stories」(FCR books|2022)
写真集「ゆきやこんこん」(私家版|2020)
季刊写真誌『リゾーム』(発行人/育緒|2018〜)
著書「I love フィルムカメラ」(技術評論社 2015)
写真集「Whiskey Drinking Troubadour」(窓社 2012)


最終更新日:23年12月24日(日)