06 10月 【開催レポート】「大和田良氏によるポートフォリオレビュー&セイリー育緒氏と大和田良氏によるトークイベント」の様子
ソラリスでは、日本写真学院が主催する「写真家・大和田良ゼミ 関西クラス」を約半年にわたり開催してまいりました。
そのゼミ生による写真展「ル・ヌーヴォー・モワ」の会期中10月1日(土)、大和田良氏によるポートフォリオレビューと、ゲストにセイリー育緒氏(Film Camera Revival代表)を招いて大和田良氏とのトークイベント「浪花節写真論」を開催しました。その様子をちょっとだけご紹介します!
この日は丸一日、たくさんのイベントが目白押し!まずは写真家・大和田 良 氏と、作品制作に真摯に向きあう写真家の交流・出会いの場として、ポートフォリオレビューが開催されました。
さて、そのポートフォリオレビューではどんな言葉が交わされたのでしょうか??以下、挙がった話題、気になった言葉を抜粋して掲載させて頂きます。「」内は大和田さんの発言(但し、会話の流れであったり、特定の写真を前にされてお話頂いた内容であることをご了承ください)。
「この距離感と、この距離感ていうのは別の距離感なんですね。だからどういう距離感、関係性であるということかを見せたいのかを濃密にしていくとまとまりやすいと思いますね」
「ある程度セレクトができた時点で、(ボリュームとして)どれくらいの構成にするのかとか、何枚くらいにするのが一番合うのか組んでみる、組んでみるとひとつの共有した時間が見えてくる」
「いくつかの見せ方があると思う、まとめ方によってだいぶ変わってくるというか。おすすめはいくつか編集を変えて、ダミー本を作ってみるのがいいと思う」
「まとめていくなかでスクエアなものと長方形のものがあるんですが、基本的にはスクエアなものは主観的な目線に見えてきて、横長なものはどちらかというと客観的な、風景として観察するように見えてくるんですね。そのなかでひとつのものを見てるのか、風景を見てるのかというところで、いくつか展開が生まれてくると思うんですね。それをどういうリズムで組み合わせるかというので、ひとつのポートフォリオの流れが決まってくる」
「人の眼とか記憶力って、人物が写ってるとか文字が大きく写ってるというのに強く残るんで。それがいいか悪いかの判断が必要で。」
「ポートフォリオていうのは、ところどころにキーとなる写真があることで活きてくるので、どの写真をキーにするかということを考えて組んでいって。そうすると、このなかにこういう写真があるといいなというのがでてくるんで、そういうものをセットアップでもいいから撮って組み込んでいったら。そういうのを試す」
「見る人に自由に感じてもらうっていうのも面白いんですけど、ある程度伝えたいメッセージを強くするには、このポートフォリオを見た人に記憶に残したいというキーを決めとくと、じゃあ他の写真を入れて構成するときに、このキーにつながるかとか邪魔になるとかが見えてくる。そうするといっそう見ごたえがでてくるんじゃないかと思いますね」
「コンセプトに対していえば、ちゃんと写りすぎてるのかなと思いますね。写真は明瞭に写ってきてしまうところがあるので、その明瞭さをどうやって崩すかってことだと思います。」
「撮ってる写真ていうよりか、セレクトの問題が大きくて。」
「四枚とか六枚とか七枚とか、複数枚になったときに、ちゃんとそのなかでその七枚であることが意味を理解した上で組めるかっていうのがひとつと、そのクオリティが揃っているかどうか。それを強く意識した方がいい」
「個展でぼこぼこに言われるのは、どんな写真でも言われるもんなんで」
「言葉だけでとると、心象風景って言うのは心の中にある風景なんで、まあ念写できないし。物理的に無理って言うのはわかるんですけど。心象風景を写真に撮るっていうことを考えたときに、表現だとすれば、それが不可能とは思わないんですね。僕の中でこれは心象風景ってことを言ってしまえば、それは否定できない訳ですよね。表現の分野において、不可能ってことはあまりないですね。心象風景は可能か不可能かっていうことでいうと、『不可能ではない』と」
「ステートメントていまみんな付けるし、作品に説明責任があるみたいなこといいますけど、説明責任とかいわれてもそんな義務ないし(笑)。ちゃんと黙秘権もあるんだから別にしゃべりたくないことはしゃべらずに。もうちょっというと実際は説明できる方がいいんですよ、でもうまく説明できないときに説明しようとするのは無理なんですよ。説明できないときには説明しない方がいいと思います。」
ポートフォリオレビュー終了後は休憩をはさんで、セイリー育緒氏と大和田良氏によるトークイベント『浪速節写真論』がスタート!話は写真論の古典、ロラン・バルトの「明るい部屋 写真についての覚書」からはじまりました。
そこにどんなことが書かれているのか、未読の方も興味が湧くような面白い話がお2人の口から語られます。
このような本を読むことの良さとして印象的に語られたのは、「読んでおくことで共通の言葉として知っていると、意思の疎通がはやく進み、同じ写真の話をするにしても、話がもっと深くできる」ということ。
[amazonjs asin=”4622049058″ locale=”JP” title=”明るい部屋―写真についての覚書”]
その後、話は中平卓馬についてや、大和田さんの作品についての話へ。そして色んな作家の作品を知ることは、知れば知るほど自分の棚の引き出しが増えて、写真との対峙の仕方が変わってくるし、自分の作品が整理しやすくなるとセイリーさん。
ほかにもいま東京で開催中のルフ展の話や、来年のゼミの予告も…!?あっという間の40分となりました。
その後は、レセプションパーティ&ギャラリートークを開催!おかげさまで多数の方にお越し頂いたなか、展示作家それぞれが自身の作品を説明しました。
ギャラリートーク後には、大和田さんから「写真は表面的に写っているものの他に、作家がそこで写そうとしたものがありますので、作家と話せる機会に聞いて頂くことで、作家自身もいろいろ考えますし、見る側もまた新たな視点で作品を鑑賞できると思います。ぜひこのあともそれぞれの作家にご質問頂ければと思います。」との言葉があり、その後もパーティは続きました。
ご参加いただいた皆さま、まことにありがとうございました!
大和田良ゼミ・関西クラス受講生の皆さま、今後のご活躍もますます楽しみにしております。そしてセイリー育緒さま、大和田良さま、本当にありがとうございました!
最終更新日:16年10月6日(木)
投稿者:solaris