木村清司 写真展「大峰、人、痕跡」

木村清司 写真展

「大峰、人、痕跡」

2025年812日(火)〜817日(日) 11:00〜19:00

木村清司 写真展「大峰、人、痕跡」

 約1,300年もの間にわたって踏み跡を残し、奈良・吉野から和歌山・熊野本宮までの峰々を南北に貫く修験の聖域、大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)。熊野古道の重要な巡礼路の世界遺産としても知られています。しかし人とこの山域との関係性は、一面的ではありません。役行者(えんのぎょうじゃ)の闊歩する以前に杣人に踏まれた尾根道、おおよそ中世以降に纏められた靡(なびき)、明治の神仏分離令による修験の衰退、戦前戦後から高度経済成長を支えた材木供給。高度に洗練された自然崇拝の昇華だけでなく、時代の混迷における揺らぎや近代林業の荒波に晒された爪跡もまた、複雑に絡み合う人と山との関係性を山中にとどめています。

 人は自らが見たい対象だけを見ようとするし、写真はそれを静的に具現化します。しかし写真の持つ客観性は、その背景に私たちが見落としがちな意味を掬い取る動的側面も併せ持っています。現在まで残る峰の尾根道や強力が担ぎ上げた青銅仏、野づら積の石垣、錆びつくワイヤーや倒壊した飯場など、人と山との関わりという意味において等しく光を放つ数々の痕跡は、奥深い自然環境とも両立しています。大峯の山中を彷徨いながら、僕はそういう写真の力に希望を見出し魅せられてもいるのです。

作品形態

カラー/インクジェット 297㎜×420㎜、他15点から17点予定

略歴

1964年 滋賀県草津市出身
1986年 同志社大学商学部卒業
2025年 京都芸術大学写真コース卒業
2025年 グループ展Dot’s/名古屋市民ギャラリー栄(予定)

所属

フォトクラブ大峯所属


最終更新日:25年5月28日(水)
投稿者:solaris