【おすすめ情報】ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!

【おすすめ情報】ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!

こんにちは、ソラリスの橋本です。
モノクロ暗室を自宅で楽しむ人と話していて、よく話題に上がるのが「どうやってバライタ印画紙をビシッとまっすぐ仕上げているか」という話。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!

というのも、バライタ印画紙はプリントした後、何もせず乾燥させると上図のように波打ってしまいます。このままだとイメージを見るときにうねって見にくいですし、額装するときに綺麗に仕上げられません。これをまっすぐ平らに仕上げるには、水洗〜乾燥のあと、「フラットニング」という作業を行います。

そんな「フラットニング」の作業でよく使われるのが、ドライマウントプレス機。
これはもともと熱で溶けるシール(ドライマウンティングティシュ)を使って、印画紙とマットボードを貼り合わせるために使うもので、これを使うと「加熱+加圧」効果でバライタを綺麗に、しかも簡単にフラットニングできます。
▼ YouTubeに、ドライマウントプレス機の使用方法の動画がありました。
というわけである程度、バライタでのプリントをやるとドライマウントプレス機が欲しくなるもの。ただ、値段が高いのと大きくてスペース取るんですよネ。。。
そこでよく聞くのが、代わりに「ズボンプレッサー 」を使って、フラットニングを仕上げるという方法です。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
そんなズボンプレッサーでのバライタのフラットニングで完璧に仕上げる方法を試行錯誤してきたのが、常連さんの八田実さん。
10年近くトライ&エラーを繰り返し、問題なく仕上げられるようになったので、もし同じようにズボンプレッサーで気軽にフラットニングをしたい人の参考になればということで、今日はその方法を教えていただきました。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!

作業手順

① カラカラに乾燥した印画紙を程よく湿らせる
② ズボンプレッサーを使って加熱・加圧し、バライタ印画紙をフラットニングする
③ ガラス板などに挟んで重しをかけ、冷却

① カラカラに乾燥した印画紙を程よく湿らせる

まずプリントしたあと水洗が終わって、乾燥を待ちます。そのときちょうどいい湿り気具合で引き上げ、ズボンプレッサーでのフラットニングの工程に入れるのであれば、この工程は省略できます。
このちょうどいい湿り具合というのがポイントでなかなか伝えにくいところなのですが、印画紙を持った時にふにゃふにゃというのではなく、しなっとする程度の硬さと、乳剤面が指にほんのわずか、軽く張り付く程度の湿り具合です。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
八田さんはサラリーマンということもあり、週末に暗室をするのですが、乾くのを待っていたらもう翌日になってしまうそうです。そして翌週の週末まで続きができないので、しょうがないのでそのまま放置し、カラカラに乾いたバライタ印画紙にちょうどいい湿り気を改めて吸わせる作業を行うそうなのですが、なるべくそれも手軽にしたい、そこで考えたのが、お風呂の浴槽にお湯をためてその湯気を利用して、バライタ印画紙をしんなりさせるという方法です。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
浴槽にまず40度程度のお湯を入れ、上図のように突っ張り棒を二本はり、その上にネットを置きます。この時ポイントは、
  • お湯は高さ10cm程度入れる
  • お湯の水面と、ネットまでの間は30cm程度離す
だそう。水面とネットがあまり近いと均等に湿気を吸わないようです。浴槽にもサイズなど色々あるでしょうから、ぜひそれぞれの環境で試してみてください。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
そしてネットに乳剤面を上にしてバライタ印画紙を並べ、風呂のフタをしめ、ちょうどいい具合の湿り気を帯びるまで時々確認しながら置いておきます。
お風呂場でやる場合、下図のように少し浴槽のフタに隙間を開けて湿気をちょっとだけ逃がしながらやった方がよいです。これをやらないと、浴槽のフタの裏面の方に結露がついてしまい、その結露が雫となってバライタ紙の上にポタポタ垂れてしまいます。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
印画紙が良い湿り気を帯びたら回収し、いよいよズボンプレッサーでのフラットニングに移ります。
ちなみに橋本の暗室には浴槽がないのでいつもどうしているかというと、印画紙のウラ面に湿らせたスポンジで軽く水分を与えて、印画紙全体を緩く伸ばして程よく湿らせています(濡らしすぎない&乳剤面を濡らさないように注意!)。

② ズボンプレッサーを使って加熱・加圧し、バライタ印画紙をフラットニングする

ズボンプレッサーは、いろんなメーカーの物が売られていますが、大きく分けて縦型と横型の2種類があります。どちらでもフラットニングはできますが、横型の方が作業がしやすいのでこれから買おうかなと思っている方には、横型をオススメします。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
ズボンプレッサーのフタを開くと、基本的に片側が硬くてまっすぐ平らに、そしてもう片側がクッションのような仕組みになっています。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
そのクッション側には溝があったり、デコボコしてたりしてこのままではフラットニングの妨げになります。そこで八田さんが考えたのは、さらにちょっとした工夫です。

■ 用意するもの

    • フェルト布 2枚(100均で入手可)
    • EVAシート 2枚(100均で入手可)
    • 厚手の中性紙 2枚以上(この辺とか)
    • アクリル板 1枚(私は使ってないフレームのアクリルを使ってます)
これらを下図の順に乗せ、印画紙をはさみます。はさむ際にはホコリなどが付いてないか気をつけましょう。ホコリなどが付いていると、印画紙に跡がついてしまいます。また印画紙に密着する厚手の紙は中性紙でなるべく表面にデコボコのないものを用いるのが理想的です。熱と水分で紙の酸性物質が印画紙に移るのと、写真の表面に影響を与える恐れがあるからです。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
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そして、ズボンプレッサーを閉じ、スイッチを入れて加熱します。
電源が切れたら取り出しましょう。その実際の様子をご覧ください。

③ ガラス板などに挟んで重しをかけ、冷却

ズボンプレッサー から印画紙を取り出したら、すぐに写真は冷え始めます。この時、放っておくとどんどんカールしていくので、このタイミングでしっかりと重しをかけた状態で冷やすのがポイントです。印画紙をマットボードにはさみ、それをさらにガラス板にはさみます。
注意点としては、アーカイバル(プリントの長期保存)にこだわる方は、無酸や中性紙の素材などプリントにダメージの残らない素材で行うのが良いでしょう。
私は複数枚はさむ時は、ガラス板 – マットボード – 印画紙 – 中性紙 – 印画紙 – マットボード – ガラス板のようにサンドイッチしています。
10分ほど重しをのせたところで取り出してみました。
私はこのまま1週間くらい重しをかけて放置しています。他にもマットボードに挟んだ状態で平らな板にサンドイッチし、万力で四隅を締めるというかたや、押入れの布団の下に入れるというかたなどもいます。
八田さんは本に挟んで仕上げているということで、本の見開きの片側にトレーシングペーパーを敷いて、トレーシングペーパーと乳剤側の面を合わせるようにして本を閉じ、下図のように本をギッチリ詰めた本棚に差し戻して1日〜7日おいて仕上げてらっしゃるそうです。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
というわけで、これで完成!ビフォーアフターで見てみましょう。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
実用的なレベルでフラットになっているのがわかるかと思います。お疲れ様でした!
この記事を書くにあたって私も八田さんも同じように感じていたのは、せっかくモノクロ暗室を自宅で始めて楽しんでる方とかが、バライタの乾燥がうまくいかないとちょっと挫けてしまうのでは、という事でした。バライタをフラットニングが大変だからと敬遠していたかた、ズボンプレッサーを使ったフラットニングで苦戦していたかた、ぜひ参考にしてみてください。暗室の楽しみにもう一歩踏み込んでもらえたらこれほど嬉しいことはありません。
最後になりましたが、八田さん、お忙しい中誠にありがとうございました!

そのほかのポイント

ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!
  • 浴槽で印画紙を程よく湿らせる時に、ちょうどいいタイミングで引き上げないと湿り過ぎてしまいます。八田さん曰く、何枚かまとめて処理する時には、処理にタイムラグが生まれるので、印画紙をいい感じの湿り気でキープするために袋などに入れておくと良いそうです(上図参照)。ただし印画紙が湿りすぎてると、張り付いたりして表面を傷めるのでご注意を!
  • 八田さん考案のズボンプレッサーにはさむあれこれ。これについて詳しくは、八田さんのブログを読むとその試行錯誤が伺えます。ぜひご覧ください!
  • 「ガラス板などに挟んで重しをかけ、冷却」する部分ですが、上の動画ではアクリル板にはさんでます。私はいつもアクリル板を使っていますが、平面性の点でガラスの方が理想的と思います。より理想的には熱をすぐに吸収する点から厚手の鉄板ですが、あまり理想の話をするとそもそもドライマウントプレス機を使おうという話になるので、、、。

参考図書

長期保存の注意点など、より理想的な仕上げの仕方を知りたい方は、この本がオススメです。
上記はあくまで、フラットニングを気軽に自宅でズボンプレッサーを使って仕上げるためのコツをまとめたものです。
「ファインプリントテクニック ―高品質モノクロプリントのすべて―」
出版社 : 写真工業出版社
発売日 : 2000/1/1
一家に一冊、入門書の次に読むならまずはこれ!ネガ作りからプリント、そして仕上げから展示まで詳しく解説された実技書です(下図の左の本です)。
ズボンプレッサーで、バライタのフラットニングをうまいこと仕上げるコツ!

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