【日々のこと】もう一度見たい、写真にまつわる映画の話

【日々のこと】もう一度見たい、写真にまつわる映画の話

写真にまつわる映画の話
ブックカバーチャレンジ
7日間のブックカバーチャレンジとは、読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿するというもの。本についての説明なしに表紙だけの画像をアップし、都度1人の友達を招待してこのチャレンジへの参加をお願いする。

SNSでみんなの本棚見てるみたいで楽しいな〜と思ってたブックカバーチャレンジのバトン。実際、何冊かは「欲しいリスト」に入れたりしていたのですが、ステキ工房・みやちさんよりバトンをいただいたのでソラリス橋本も書いてみることに。

ただ、素直に書くのもということで、ルールを勝手に変更し「もう一度見たい、写真にまつわる映画」で7日間SNSで書いていたのをせっかく書いたのでまとめてみました(貧乏性!)。ご笑覧いただければ幸い。

「甘い生活」(1960年/フェデリコ・フェリーニ監督)

1日目は、フェデリコ・フェリーニ監督の「甘い生活」(1960年)。え、写真出てきたっけという方は冒頭5分、ヘリコプターからグリップつけたローライフレックスで写真を撮る雑誌記者の男を忘れてやしませんか。主人公の相棒でもある彼の名は、パパラッツォ。諸説ありますが、パパラッチの語源は彼の名前とも。

アニタ・エクバーグが飛行機から降りてくるシーンではローライ、スピグラにフラッシュガンの雨嵐。ベスパに二人乗りで一人は運転、一人は撮影のパパラッチスタイルも出てきたりと、いろんなカメラの構え方が見れるのも写真好きには見逃せませんが、二眼の下レンズに指が掛かってるエキストラがいるのはご愛嬌。

そして乱痴気騒ぎの夜は明け、やがて海へと続くラストシーン。まるで美しい写真のようなあのシーンがもう一度見たい!という感じです。

「都会のアリス」(1973年/ヴィム・ヴェンダース監督)

2日目は、ヴィム・ヴェンダース監督「都会のアリス」(1973年)。

ドイツ人ジャーナリストのフィリップは出版社から依頼された旅行記を書くためアメリカを流浪しているが、文章はいつになっても書けないまま。彼の手元にあるのは、進まぬ筆の代わりにメモを取るよう撮ったポラロイド写真の山。何も成し遂げられずやがてお金も尽き、人生にくたびれたようにドイツへ帰ろうとする彼は、奇妙な行きずりから小さな女の子アリスとともに旅をすることになり、それは彼の心を変えていく。

主人公の愛用カメラは、まだ当時最新機種だったポラロイドのインスタントカメラ、SX-70。「撮ることは書くこと」と言い、眼の前の風景を撮るものの「見たものが写っていない」とため息混じりにつぶやく。アメリカを流浪する中で、というよりおそらく生きる中で自分を見失ってしまった主人公の様子がうかがえる。

それは誰にでもあると思う。どこに行きたいかなんて分からないし、誰にも教えられない。不安や怖さは、いつだって私たちのほんのすぐ隣に転がっている。ヴェンダースも決してなにか解決策を明示するわけでもない。それは嘘をつかないことに似ている気がする。ただアリスは浴室を開け、思いを巡らす主人公の元にずけずけと入ってくる。主人公もまたトイレに篭って泣くアリスとドア越しに話をし、扉を開けさせる。

カメラから出てきたばかりのインスタント写真を見て「何も写っていない」「すぐ見える」というやりとり。今は見えなくともそこにはやがて像が浮かぶ。旅のなか、飛行機や船、モノレールといった窓から二人を横切った景色、そして文字通りオープンエンド。線路はつづく、旅はつづく、物語はつづく。

「裏窓」(1954年/アルフレッド・ヒッチコック監督)

3日目は、アルフレッド・ヒッチコック監督「裏窓」(1954年)。

事故で足を骨折したカメラマンのジェフは、自宅にて車椅子で療養中。自由に部屋から出歩けない彼の楽しみは、カメラの望遠レンズを使って裏窓から、アパート住人らの人間模様を観察すること。ある日、いつも口喧嘩が絶えなかった隣人夫婦の妻が突如として姿を消す。夫の怪しい挙動を観察していたジェフは、数々の状況証拠から殺人事件と確信し、恋人と共に調査に当たる。事件を認めない友人の刑事を納得させるため、確たる証拠を掴もうとする2人だったが…。

スタジオに中庭とアパート丸ごとセットを作り、全編にわたってその巨大なセットひとつで撮影された今作。それを生かしたオープニングのロングテイクで、ヒッチコックすげーーーーとぶっ飛ばされます。主人公は部屋から一歩も出ず、部屋の中または部屋の窓から見えている範囲で物語は進むので、stay homeなこの時期にもぴったりですね。

リマスターされた版を先日見たら、まるでポジスライドを見てるかのような生々しいほどのはっきりくっきり感。すげーな、デジタルリマスター。おかげで部屋の中の大道具・小道具の作り込みまでバッチリ見えて、覗き感1000%増し。これから見る方には高解像度版をぜひおすすめ!

ところでエグザクタなの?エクサクタなの?エキザクタなの?

「ラ・ジュテ」(1962年/クリス・マルケル監督)

4日目は、クリス・マルケル監督のSF短編「ラ・ジュテ」(1962年)。

第三次世界大戦により廃墟と化した近未来のパリ。捕虜となった男は、タイムトラベルの実験台にされ、過去の記憶と未来を彷徨う。

写真はその時、その場所でしか写せないものなのに、一枚の写真をずっと眺めていると、それを構成するはずの時間と場所が消えて、宙吊りにされた瞬間のみが立ち上がってみえることがあります。

ラ・ジュテはいわゆる普通の映画と違い、映像はいわば紙芝居的にほぼ全編にわたってモノクロの静止画をつないで作られています。より正確には写真ではなく、ムービーとして撮影したものから静止画を抜いているそうです。

それゆえ、そこに映し出される映像には断片性と同時に永続性が同居するような時間が流れるが、その想像の余白が時間と記憶をモチーフにした本作にはよく似合う。

映画に登場する二人が最後にデートをすることになったのは博物館。そこには剥製が飾られていた。まるで生きているかのように留められた永遠の不動。詩的で美しいあのシーンがもう一度見たい!

いつもお世話になってるMさんがくれた大事なDVD。ありがとう〜!

「世界一美しい本を作る男 〜シュタイデルとの旅〜」(2010年/ゲレオン・ヴェツェル監督、 ヨルグ・アドルフ監督)

5日目は、「世界一美しい本を作る男 〜シュタイデルとの旅〜」(2010年)。

写真集好きには説明不要、ドイツの出版社steidlとその経営者ゲルハルト・シュタイデルのドキュメント。DVD単体では売られておらず、DVDブックを買わないといけなかったんですが、今はamazonやitunesで映画のみレンタルも可能で見やすくなってます。

ジョエル・スタンフェルドの新しい写真集作りを軸に、世界を飛び回り様々な写真家との打ち合わせ風景で映画は進んでいきます。密なコミュニケーションを重ね、メモを取るその姿は白衣もあってまるで医者がカルテを書くよう。写真集が1冊できるまで、どんなプロセスを重ねているのか、撮る人にも大いに参考になるのではないでしょうか。

本当にこれでいいのだろうかと悩むスタンフェルドとシュタイデルのやり取りは、必見。モノヅクラーの情熱が終始伝わってくる映画でもう一度見たい!

「カメラになった男 写真家 中平卓馬」(2006年/小原真史 監督)

カメラになった男 写真家 中平卓馬

6日目は、小原真史 監督「カメラになった男 写真家 中平卓馬」(2006年)。

写真家・中平卓馬に3年間密着し、横浜の自宅周辺を日々撮影する姿、かつて訪れた沖縄へと向かう姿などの様子を追ったドキュメント。ソフト化はされていないと思うので、劇場やイベントでの上映でぜひ鑑賞を。私が見たのはシネ・ヌーヴォXにてだったと思う。

数々の名場面があるのですが思いだそうとすると、あの赤い帽子とRED SOXのウィンドブレーカー姿(ユニクロで売ってた様子。調べてしまった)で写真を撮ったあと嬉しそうにする無邪気な顔ばかりが浮かんでしまう。あとダイドードリンコの自販機見つけてキャッキャッするのとか、記念写真を頼まれて撮ってあげるのとか。そう、私はすっかりファン。

記憶のあいまいさから一瞬「信頼できない語り手(Unreliable narrator)」となる中平さん、沖縄で鋭い瞳を見せる中平さん、そのどのシーンもが、答えがそこにあるのにもかかわらず、解けない問いのような存在感でずっと胸に刺さっています。
トレイラーは見つからずなのでフライヤーを。

「花とアリス」(2004年/岩井 俊二 監督)

7日目は、岩井俊二 監督「花とアリス」(2004年)。

親友同士の女子高生ハナとアリスの2人と、先輩の男の子が織り成す恋の三角関係という少女漫画なストーリー。役者たちの表情のみならず心情までもが、故・篠田昇氏(撮影監督)による美しく光に満ちた画面にみずみずしく表れているかのようです。

様々な工夫で知られる篠田氏ですが、「花とアリス」では一部、デジタルシネカメラのレンズ先端に改造したハッセルブラッドを取り付け、そのスクリーンを撮影したとのことで、その様子をメイキングでは見ることができます。

冒頭、駅にてCONTAX T3で隠し撮りするハナ。いいカメラ使ってんナ!

というわけで、「もう一度見たい、写真にまつわる映画」7本。あなたのお気に入りの一本が見つかると嬉しいです!また、写真にまつわるあなたのお勧めがあれば、ぜひともお教えください〜。



Share This